確定申告はするべきなのか?わかりやすく解説
- yayagome17
- 2022年7月5日
- 読了時間: 6分
確定申告というと、個人事業主などが行うものというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。実際に、会社で年末調整を受けている会社員は、副業収入がなければ所得税の確定申告をする必要はありません。しかし、年末調整を受けていない会社員や、副業収入がある会社員の場合、所得税の確定申告をしなければいけない場合もあるのです。
ここでは、所得税の確定申告が必要な人と必要ない人について、詳しく解説していきます。

確定申告とは?
所得税の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得を確定させて、所得税を算出・納付するために行う申告手続きです。
所得の計算方法
所得とは、年間の収入から経費を差し引いた金額のことです。個人事業主やフリーランスの場合、年間の売上から、仕入代金や通信費、旅費交通費などの経費を差し引くことで、所得を求めることができます。なお、個人事業主の売上は、入金日ベースではなく、発生日ベース(売上を立てた日)で計算します。
一方、会社勤めをしている給与所得者の場合は、経費を個別に計算するのが難しいことから、収入金額(年間の給与の金額)に応じた「給与所得控除」が決められています。年収から給与所得控除の額を引くことによって、会社員の所得金額が求められます。
確定申告を行う時期
所得税の確定申告は、原則2月16日から3月15日の間に行うと決められています。なお、2月16日や3月15日が土日祝に重なった場合は、日付が、後ろ倒されて翌日になります。
この期間を過ぎると、延滞税などがかかることもあるので注意しましょう。個人事業主で青色申告をしている場合は、申告期限を過ぎると最大65万円(もしくは最大55万円)の特別控除が受けられなくなります。
ただし、払いすぎた税金が戻ってくる「還付申告」なら、この期間以外の時期でも申告できます。延滞税などのペナルティもありません。
確定申告が必要な人
所得税の確定申告は、「絶対にしなければいけない人」「しなくていい人」「することでメリットがある人」がいます。自分がどれに該当するのか、確認してみましょう。
下記の条件に当てはまる人は、絶対に確定申告をしなければいけない人です。確定申告をしないと脱税になってしまう可能性がありますのでご注意ください。
年間の合計所得金額が48万円を超える個人事業主・フリーランス
個人事業主やフリーランスの人のうち、年間の合計所得金額が48万円を超える人は、確定申告をしなければいけません。売上から経費を差し引いた後の金額が48万円を超えていた場合は、確定申告をしましょう。
なお、個人事業主の場合、確定申告をしないと年間の収入の証明ができないといったデメリットが発生します。そのため、たとえ合計所得金額が48万円以下でも、個人事業主なら確定申告をするのがおすすめです。
一定以上の雑所得や一時所得がある給与所得者、年金受給者
給与所得者や年金受給者のうち、副業収入や一時所得が一定額以上ある人は、確定申告が必要です。
副業による雑所得…収入から経費を引いた所得金額が20万円を超える場合
一時所得…収入から経費と特別控除額(50万円)を引いて2分の1した金額が20万円を超える場合
副業の雑所得には、業務委託の配達員やアフィリエイト収入、クラウドソーシングの収入などが該当します。また、一時所得とは、競馬の払戻金(趣味で時折する程度のもの)、生命保険の満期金などです。
一定以上の公的年金を受け取っている人
国から支給される公的年金の1年間の収入金額が400万円を超える人、または公的年金から源泉所得税が差し引かれていない人は、確定申告が必要です。
なお、保険会社が取り扱っている個人年金については、保険料の支払いと受け取りが同じ人であれば、「雑所得」に該当します。公的年金とは合算せず、別々に計算しましょう。
給与所得者の一部
会社から給与を受け取っている会社員のうち、下記の条件に当てはまる人は確定申告が必要です。
・年収2,000万円を超える人 年収が2,000万円を超えると、会社で年末調整をしてもらうことができません。そのため、個別に確定申告をする必要があります。
・副業で年間20万円を超える給与を受け取っている人 本業以外に休日にアルバイトなどをしていて、年間で20万円を超える給与を受け取っている場合、所得税の確定申告が必要です。
ただし、メインの勤務先・就業先以外の年収と雑所得を足した合計所得金額が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。
・給与や退職金から所得税が源泉徴収されていない人 災害などが原因で源泉徴収税の猶予を受けた場合や、在日の外国公館勤務で源泉徴収されていない場合など、何らかの事情で給与や退職金から所得税が源泉徴収されていない人は、所得税の確定申告を行います。
該当するか不明な場合は、個別に税務署に問い合わせましょう。ただし、退職所得控除の範囲内におさまるために退職金から所得税が源泉徴収されていない場合は、申告不要です。
確定申告をしなくてもいい人
下記の条件に当てはまる人は、所得税の確定申告をする必要はありません。基本的に「確定申告が必要な人」以外の人となりますが、1つずつ見ていきましょう。
会社で年末調整を受けていて、ほかに収入がない、または副業収入が20万円以下の人
会社で行う年末調整は、所得税の確定申告と同じように1年間の所得と所得税を確定させる役割を担っています。そのため、年末調整をしていて、会社からの給与以外に申告すべき収入がないのであれば、別途、所得税の確定申告をする必要はありません。
また、会社からの給与以外の収入がある場合でも、アルバイトなどの年収と副業の所得を足して20万円以下であれば所得税の確定申告をしなくても問題ありません。
個人事業主・フリーランスのうち合計所得金額48万円以下の人
個人事業主やフリーランスの場合、合計所得金額が48万円以下なら確定申告をしなくてもよいとされています。
これは、合計所得金額2,400万円以下の場合、誰もが適用できる「基礎控除」が48万円だからです。合計所得金額48万円の人は、基礎控除48万円を引くと0になりますから、所得税がかからないというわけです。
ただし、前述のとおり、事業を営んでいる人は、基本的に確定申告を行ったほうがいいでしょう。なお、個人事業主で青色申告をしている人は、所得の金額が少なくても、確定申告期間内に申告をしましょう。
なぜなら、青色申告特別控除後の所得が48万円以下でも、そもそも最大65万円控除(もしくは55万円控除)の青色申告特別控除を受けるためには、確定申告期限までに所得税の確定申告をすることが条件だからです。
そして、65万円控除(もしくは55万円控除)をした状態で、確定申告をしなくてよい48万円以下の所得金額になったとしても、所得税の確定申告期限を過ぎてしまうと青色申告特別控除は最大10万円まで減ってしまいます。控除額が変わることで、0円だったはずの所得税額が出てしまうこともあります。
よって、個人事業主で青色申告を選択している人は必ず所得税の確定申告をしましょう。
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